スタバで死者を動かす技術が軍事利用されてる設定のSF小説を読んだ帰りに、ぼんやりと脳と体の関係に想いを馳せた。
本を読んだりコンピュータで何かの作業をしているときは、周りの世界の情報はすべてシャットアウトして集中する。
文字で綴られて構築された世界を頭の中で再生したり、何かしらのアウトプットを出すために必要な要素を頭の中でひねくり回すときには、そのためだけに脳を動かす。
別に僕は「意識の高い」効率主義者みたいな人間ではないけれど、そのようにして集中することが質量両面で時間効率を最大化することにつながるし、ふつう人はそういう頭の使い方をすると思う。
「集中」ってやつ。
ただ、この集中のモードの脳のままで肉体を動かす活動に移ると、ちょっとぎくしゃくする感じがある。
肉体が軋む感じ。というか、脳と肉体の不調和というか。
読書とか作業に集中する時の「没入」って、外の世界の情報はシャットアウトするタイプの没入で、肉体を動かす活動の時に必要な「没入」は、外の世界の情報すべてを余すところ無く受け取って処理するタイプのもののはず。
乱暴にゲームで例えるなら、前者の没入はどれだけ一手に時間をかけようとも敵は待ってくれている状態で進むターンベースのRPGみたいなイメージ(パズドラとか)で、後者の没入はプレイヤーの一人称視点にリアルタイムで容赦なく外界が干渉してくるファーストパーソンのシューティングみたいなイメージ。
こういう「処理すべき情報の流れの経路が内側だけで完結してるか外側との交流があるか」っていう問題だけでなくて、脳と肉体の関係性においても、2つの活動タイプでは違いがある。
読書とか机上の作業では必要なインプットアウトプットを行うために必要な身体器官のみのコントロールに脳を使えば良いから、「質量両面で時間効率を最大化」するためには他の身体器官はどうでもいいことになる。
椅子の背もたれを倒れる状態にして深く座り黒い画面に浮かぶ白い文字をいじくり回すエンジニアのように必要の無い器官には余計なエネルギーを使いたくない。
「頭がしゃきっとするからよい姿勢でいた方が作業効率は高い」みたいな話もあるかもしれないけど、究極は他の身体器官はどうでもいい。
この脳のモードで肉体を動かす活動に遷移すると、肉体も同じルールで動かそうとするから、肉体の方が追っ付かなくなる。
重さも形も無いモノを頭の中でひねくり回すモードには現実の物理ルールに従う肉体はついていけない。
脳の活動スピードに肉体をあわせるか、肉体の最高スピードに脳をあわせるかしないと、オーバーヒートしてしまう。
CPUの処理速度に対してメモリが小さくて全体の処理が追いつかない感じ。
集中するとちょっとグッと入りすぎる嫌いがあるので、自覚的に制御するのと、走ったりして肉体のコンディションを整えるのも、大事だなと思った。
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